徒然いずみの備忘録

徒然なるままを備忘録

【本】インテンション・エコノミー(第一部・第二部)

読書メモ。会社からオススメされての読書。

インテンション・エコノミー 顧客が支配する経済 (Harvard business school press)

インテンション・エコノミー 顧客が支配する経済 (Harvard business school press)

久しぶりにこの手のビジネス書籍読みましたが、疲れましたね(つД`)ノもう少し優しい入門書から入ればよかったです。マーケティングの知識があれば、もっとすんなり楽しく読めたかな。しかし、IT屋さんなのでわかる部分も多く、普段考えないことを考えさせてくれるとてもためになる本であったと思います( ^ω^ )

第一部:顧客の囲い込み

  • チャイニーズ・ウォールという言葉がある。これは相容れない立場にある。マーケティングの未来は人間のやり取りや興味をすべて分析・取引可能な定量的データの集合体へと集約する事だけにあるという考え方がある。その一方で、マーケティングの成功はコンテンツ、背景情報、環境、そして、人間の感情に基づいた対話次第とする考え方もある。
  • 反動が終わり、広告バブルがしぼんでも、広告は巨大で有用なビジネスであり続ける。しかし、広告ができないことを埋める市場が生まれる。そこでは、顧客が実際に何を欲しがっているのかに基づいて作られるものであり、それを推測することで作られるものではない。
  • 自由な市場が誰かに囲い込まれるかを選べる以上のものになるためには、自由な顧客が囲い込まれた顧客よりも価値が高くなるという規範に基づく新しいシステムが必要になる。
  • 小売店とサプライヤーの間で業界専門用語がかわされている。広告割引、返品引当金、コンテストや懸賞、コンペンションや組合会議、共同広告、ディーラープレミアム、陳列割引、ダイバーティング、先物買い付け、特別報奨金、スロッティング・フィー、特別取引条件、変動価格。これら全てがマーケティングの範疇に入る訳ではないが、主に、「戦略的」なマーケンティングの取組みに関係する。しかし、顧客はこのいづれも求めていないということである。
  • 選択肢がなかった工業中心時代の市場とは異なり、ネットワーク化された市場では顧客は様々な方法でマーケティングに関与できる。

第二部:ネットワーク化された市場

  • インターネットはの将来を「何でも」と「唯一の」の戦いであると見る。「何でも」の側にはネットヘッドがプロトコル、そして、その利点という視点からネットを捉えている。そして、「唯一の」の側にはベルヘッドが配線インフラや課金システムの視点からネットを捉えている。ネットヘッドは左翼的であり、ベルヘッドは右翼的である。
  • インターネットのプロトコルは、NEAという短縮系で表される規範に従っている。
    1. Nobady own it.(誰も所有していない)
    2. Everybody can use it.(誰もが利用できる)
    3. Anybody can improve it.(誰もが改良できる)
  • それがあるゆえに(because)儲けるのであって、それで(with)でも儲けるのではない。「ビコーズの効果」の総計は計算不可能であり、インターネット接続のコストと負荷がゼロに近づけば近づくほど、それに反比例して容量が大きくなっていく。「誰もが改良できること」こそが、インターネットをこれほど適合性のある基盤にした要因である。インターネットが市場として常に進化し、それに依存するあらゆる人にとって、ますます有用で効率的になっている理由である。
  • ライブウェブはリアルタイムであり、リアルプレイスである。現実世界でモデル化したならば、一番近いのは都市である。都市は、超線形(てこ比は1以上)で拡大し、企業は亜線形(てこ比は1未満)で拡大する。これは、都市がネットワークだからである。
  • 代理人はパーソナルな存在である。全ての顧客意思の背後にある信頼感の源泉である。ネットワーク化された市場は、本来的にに、顧客が全面的に代理人にを採用することを推奨する。優れた企業は顧客主導型を目指す。ネットワーク化された市場、さらにはインテンション・エコノミーにおいて、売り手企業も顧客も多くの方法で成長できる。ただし、顧客が市場に持ち込む物を制限すれば、その市場で起こせることを制限することになる。
  • 自由、オープン性、独立性の価値は永遠であり、これはFOSSコードだけではなく、コネクトとされた世界での組織、企業、商品についても当てはまる。
  • 市場は少なくとも、2つの方向性で拡大していく。どちらにも役割が有る以上、どちらの軸が重要かを議論するのは意味がない。例)垂直方向はAppleであり、水平方向はGoogleである。アップルの哲学は「シンク・ディファレント」であるとするならば、それに対するグーグルの哲学は、「シンク・セイム」で有るかもしれない。企業の選択は、顧客と手を取って共に進むか、一方的なブランド戦略にとらわれ続けるかだ。

気になった言葉

  • 付合契約:契約の一種であって、当事者の一方がすべての交渉力を有し、主に自身の利益のために契約を決定できるもの。
  • CRMビジネスを長年経験してきたイアイン・ヘンダーソンは、CRMベースのリレーションを「推量と無駄の大海の中の孤独」であると言っている。
  • Limuxの創造者であるリーナス・トーバルズは、Limuxが世界に対して具体的にどんな貢献をしたかを尋ねられた際に、「それは、ユーザ空間の話だ。僕はカーネル空間の担当だ。」と答えた。
  • アップルが作り出す物は以下のようになると保証できる。
    1. それはオリジナルである。
    2. それは革新的である。
    3. それは独自である。
    4. それは高価である。
    5. その審美性は完璧である。